日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

ウマ娘のシンボリルドルフが使う四字熟語とその意味(その1)

どうもこんにちは。

今、「ウマ娘」が全国で一大ブームとなっていますね。

実在の名馬の名前を冠した”ウマ娘”とその史実に準拠したストーリーが、ゲーマーだけでなく競馬ファンにも受けているようです。

そんなウマ娘のうちの一人、”皇帝・シンボリルドルフ”はやたらと会話の中で四字熟語を使用し、彼女の詠雪之才を余すことなく見せつけてきます。

その四字熟語の中には、人口に膾炙しているものだけではなく、日常ではめったに聞くことが無いようなものまで多分に含んでいる為、ここでその一部を紹介しようと思います。

画像は(株)Cygamesのスマホゲーム、『ウマ娘 プリティ―ダービー』からの出典です。

 

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デビューを表明しただけで学園中で話題沸騰のシンボリルドルフ。学園の生徒会長として既に名高い彼女には大きな期待が寄せられるが、当の本人はそのような重圧などどこ吹く風。しかし、生徒会の仕事とハードなトレーニングを両立させるとなれば、生中な覚悟ではやってはいけない。

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・生気溌溂(せいきはつらつ)

動作や表情がいきいきしている様子。

 

・泰然自若(たいぜんじじゃく)

落ち着いていて何事にも動じないさま。

 

・意気衝天(いきしょうてん)

意気込みが非常に盛んな様子。

「意気、天を衝(つ)く」が元の形。

 

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・悠々閑々(ゆうゆうかんかん)

焦りがなく落ち着いているさま。

”悠”とはのんびりゆったりしている様子、”閑”は静かな様子を表す。似たような意味を持つ漢字の組み合わせ+畳語という構成の強調表現である。平素から多事多端な彼女だからこそ出る台詞ではなかろうか。

 

そんな彼女には右腕とも呼べる優秀な相方、”エアグルーヴ”が居る。

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もう一人、エアグルーヴと同じく副会長の”ナリタブライアン”はぶっきらぼうだが、新人の生徒会庶務を気に掛ける一面もある。

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右腕となって働いてくれている彼女たちをルドルフは『莫逆之友』と評す。

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最近生徒会に庶務として新人のウマ娘が入ったらしいが、その娘が起こす諸問題について彼女たちは少々苦心しているようだ。

 

・才華爛発(さいからんぱつ)

才能が盛んにあふれ出ていること

前回記事にも出てきた「才気爛発」と同義。

 

・傲岸不遜(ごうがんふそん)

態度が横柄で人に従わない様子。

 

・莫逆之友(ばくぎゃくのとも・ばくげきのとも)

きわめて親しい付き合いをしている友人

”逆”とは逆らうこと、”莫”はその打消し。つまり、付き合う上で心に逆らうものがないということである。

 

・桃三李四(とうさんりし)

物事の成就には年月がかかることのたとえ。

桃は三年、スモモは四年の歳月を身を付けるのに費やします。物事は一朝一夕にできる様になるわけではありませんからね。ここで、「桃栗三年柿八年」ということわざが同時に思い浮かべば良し。

 

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”怪物・スーパーカー”の異名を持つマルゼンスキー(右)と邂逅する。まさに破竹之勢で幾多ものレースを勝ち抜いてきた彼女にルドルフも一目を置いているようだ。

 ・破竹之勢(はちくのいきおい)

 とどめがたいほどに勢いが盛んな様子。

最後まで一直線に割れるという竹の性質から生まれた言葉。

 

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新年の抱負として、掲げるべきは何かと問うルドルフ。列挙されたのは3つの選択肢。

 

・賢良方正(けんりょうほうせい)

賢く、行いがただしいこと。

 

・十全健康(じゅうぜんけんこう)

全く体に悪い所がないこと。

 

・武芸百般

ありとあらゆる武芸、武術などをまとめた言葉

”武芸百般に通ずる心得”などと使う。

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ある日、新人の生徒会庶務のウマ娘が、偉大な会長の負担になりたくないと辞職を願い出た。

そこでルドルフは自身の出走する『皐月賞』を見に来ないかと提案する。

 

・無二無三(むにむさん)

1.ただ一つしかなく、それに代わるものが無いこと。

2.一つの事に没頭すること。

 生徒会室に校訓として掲げられている”Eclipse first, the rest nowhere.(唯一擢んでて並ぶものなし)”から推察すると1の意味として捉えそうですが、ここでは2の意味。

因みに”Eclipse first, the rest nowhere.”は直訳すると、「エクリプス一着、あとは居ない」。”エクリプス”とはイギリスで18世紀後半に活躍し、サラブレッドの基礎を作ったといわれる競走馬で、そのデビュー戦での結果を予想した馬主の言葉が由来である。

当時のヒートレースでは、1着から240ヤード(約219メートル)離された場合は入着が認められず失格になるため、エクリプスが2着を240ヤード以上離してゴールすると予想し、的中させたのである。

 

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・大言壮語(たいげんそうご)

できもしないことを大袈裟に言うこと。

いわゆる”ビッグマウス”というやつである。ただ、自身を評した言葉なので、文脈としてはへりくだった表現であると言える。

 

『皐月賞』で勝利したシンボリルドルフは自分の夢を懇々と語る。その思いに触発された庶務のウマ娘は、生徒会の続投を決意。

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・焦心苦慮(しょうしんくりょ)

 あれこれと心配し、思い苦しむこと。

 

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 『日本ダービー』をも走り終え、積日の労苦を見せたルドルフ、それはレースの直後だからと弁解するが…。

 

・意気軒高(いきけんこう)※意気軒昂とも

 気力にあふれていて元気なさま。

気力が地平から軒の高さまで達しているという意味である。前述の”意気衝天”と同義だが、”天を衝く”ほどの瞬間火力的な凄まじさを表現しているわけではない。

 

~次に続く~

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