日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

【難読漢字】東風、南風、風巻など、風の名称。

風の名称といえば、何が出てくるでしょうか。

まずいちばんに思い浮かぶのが「春一番」、それから「木枯らし」、あと東北地方に冷害をもたらす「山背(やませ)」なども学校で習った記憶があります。

それぞれの季節に吹く風、その時間帯、地域などによって呼ばれ方は様々。農家や漁師の人たちがつけたものを含めると、その数は2000以上にもなるのだとか。

因みに、風が全く吹いていない状態のことを凪(なぎ)と言います。沿岸部では、朝と夕方に海風と陸風が切り替わるタイミングがあるのですが、それぞれを朝凪(あさなぎ)夕凪(ゆうなぎ)と言います。

 

さて、今日はそんな風の名称の中でも、漢字の読みが難しいものを幾つか取り上げてみました。

問題に移りましょう。下の風の名称の読み方を答えてください。

 

1.東風

 難易度★☆☆☆☆ ※「こ」から始まる読み方。

 

2.南風

 難易度★★☆☆☆ ※「は」から始まる読み方。

 

3.風巻

 難易度★★★☆☆ ※「し」から始まる読み方。

 

4.風花

難易度★☆☆☆☆

 

5.

 難易度★★★★☆

 

6.颪

 難易度★★★☆☆

 

 

↓正解と解説

 

1.東風(こち)

春に東から吹く風のこと。

この文言が出てくる句で一番有名なのは、菅原道真が詠んだ "風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ”の一首でしょう。

東風は「あゆ」とも読め、その場合は夏の季語となる。

 

2.南風(はえ

夏に南から吹く風のこと

梅雨の曇天の中吹くのが黒南風(くろはえ、梅雨明けの晴れた中吹くのが白南風(しらはえ

 

3.風巻(しまき)

風が激しく吹くこと。また、その風

 

4.風花(かざはな)

 晴れた日に風に吹かれて飛んでくる雪。山脈風下(かざしも)群馬県静岡県のあたりで見られる現象。

 

5.(つむじかぜ)

 渦を巻いて吹き上がる風のこと旋風

複雑(?)なので、拡大表示しています。

左側、犬が三つ(猋)ありますが、これは「ヒョウ」と読み、犬が群れだって走っている様子を表す漢字だそうです。

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ケルベロス、ではありません。

もしかすると、風を操る三つ首の犬が登場する創作物が既にあるかもしれません。

 

6.颪(おろし)

(主に冬に)山から吹いてくる季節風

「颪」は、中国には無い日本製の漢字(=国字)。

阪神タイガース応援歌の「六甲おろし」は、六甲山地から吹き降りてくる風のことを言っています。

ところで、神戸では六甲山を含め馴染みのある山々を「六甲さん」などと、親しみを込めて人の名前を言う時の様なイントネーションで言うようです。

 _ ̄_   とならずに、  ̄_  _ となるわけですね。

 

 

以上、漢字の読み方が難しい風の名称でした。

 

問題を作っていて困ったことがあったのですが、それは同じ漢字でも読み方が何通りもあるという事です。見通しが立たず、最初の読み方を記載するという処置を取ったわけですが、もはやクイズとして成立しているのだろうかと…。

「風には2000を超える名称がある」。

とまあ、その一片をここで漸(ようや)く知ることになりました。

 

以上です。

さようなら。